コラーゲンってやっぱり美容にいい?
「コラーゲン豊富なものを食べると、肌がプルプルになる」
これ、間違いです。
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コラーゲンは細胞と細胞を結びつけて肌の張りを支えている、という事実
そして
コラーゲンたっぷりのもの(スッポンなど)を食べれば体内に必要なコラーゲンを摂取したことになる、という考え方には大きなギャップがあります。
大前提としてタンパク質はアミノ酸という基本ユニットから構成されます。
アミノ酸をいくつか連結していくことで、タンパク質が合成されるのですが、タンパク質の種類ごとに連結するアミノ酸の種類と連結する順番が厳密に決められています。
(※その種類と順番を決めているのが遺伝子です)
では、コラーゲンたっぷりのスッポンを食べるとどうなるでしょうか。
体内に入ったコラーゲンは分解され、アミノ酸として蓄積されます。このとき、蓄積されるアミノ酸はコラーゲン以外のタンパク質由来のものと区別されません。
つまり、コラーゲン由来のアミノ酸もそれ以外のタンパク質由来のアミノ酸もすべて混じりあってしまうのです!!それらが全身を巡り、60兆の細胞で様々なタンパク質として再合成されます。
コラーゲン以外の物に置き換えてみるとイメージしやすかもしれませんね。
例えば髪の毛。
髪の毛はケラチンというタンパク質でできていますが、自分の髪の毛を食べたら、頭皮がモサモサになる!!
なんて、思うでしょうか?
「コラーゲン豊富なものを食べると、肌がプルプルになる」という発想はこれと同じ発想をしていることになります。
以上のことを一言でまとめると、
コラーゲンを体内に入れたからといって、それが体内で再びコラーゲンとして再合成するとは限らない。
ということでした。
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さて、今となっては有名な話かもしれませんが、未だに勘違いしている人もいらっしゃると思うので、記事にしてみました。
この記事に関して疑問や異論のある方は是非コメント欄にお願い致します。
執筆にあたって
はじめまして!!
私は都内大学院で生物学を専攻しております。
この度「明日話したくなる生物の話」をコンセプトにブログを開設しました。
当ブログでは以下のことを目的とし、執筆を行います。
生物学の奥ゆかしさを知ってもらいたい
生物の様々な機能や構造は驚くほどに精巧につくられています。大学二年生の時、初めてその詳細な仕組みに触れた私は、遺伝子や細胞の本を買い漁って寝食を忘れる程に生物の織り成す機能や仕組みに魅了されました。また、生物学を学んでから、ほんの少しではありますが、生きるのが楽になったような気がしています。生物の壮大な営みの中に生きていることを認識してからは、自分の悩みなんかすごくちっぽけなのかもしれない。そう思うようになっていきました。
さてこんな堅苦しい前置きはさておき、当ブログを通じて、少しでも生物学を面白いと感じ、皆様の人生が昨日よりも1mmだけ豊かになったのであれば、執筆した価値があったなと感じることができそうです。
そのため、記事の内容は「日常生活の中の疑問」や「勘違いされやすい知識」についてお送りしていきたいと思います。
なお、できるだけ専門用語は使わないというのが理想ですが、どうしてもその言葉でしか表現できないものもありますので、随時注釈をつけさせていただきます。ご了承ください。
皆様の生活が少しでも豊かなものになり、今後の生物学の発展することを祈って。
written by akira